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諦めない2x4工法、そして売り建て建築も

2x4工法・売り建て住宅への挑戦 

どんなプロジェクト?
建築条件付き土地、2×4工法、ローコスト、遠方、コロナ禍、などの条件下でのプロジェクトです。
 
挑戦のポイント
この建物は大阪に本社をもつ企業の仙台営業所兼社宅であり、会社のイメージを表出する必要があり、会社の業績や扱う商品の変化に応じて、内部空間の可変性が求められます。
2x4工法は安価ですが、内部間仕切りもツーバイ材のパネルを使用するため、建物全体が2x4パネルの構成となり、将来の間取り変更が難しく柔軟性や可変性に欠けます。
また、内外装材も施工者の実績などに左右される傾向にあり、建築としてのあるべき姿の表現が容易ではないと感じました。
 
具体的な取り組み
幸いボリュームが小さな建物であったので、構造計算で安全性を確かめた上で、建物の四周のみ構造パネルとし、内部の壁は全て衝立の様な扱いとし、構造体から切り離しました。
その結果、一つの空間に入れ子のように個室が入り、広がりが感じられる空間となりました。
 
また、2x4工法には釘の打ち方には独特のルールがあり、仕上げ上貼り前提のため釘頭が露出するのです。素地仕上げとするために、大工さんに釘の打ち方を工夫してもらいました。その結果、今までにない2x4パネル素地仕上げが実現できました。他にも、開口部の制限、耐力壁線などいくつか構造上のルールがあるのですが、そのルールから生まれる形を整えることで、デザイン上の柔軟性が得られる事も確認できました。
 
また、売り建て専門の施工会社の不慣れな内外装の仕上げについては、例えば通常では外壁サイディングとなるところを、こちらから左官屋さんを手配してモルタル塗りとしたり、内装壁クロスも構造用合板に変えたり、床の住設建材も杉板(支給)にするなど、少しばかりの手間をかけることで、2x4工法の売り建て住宅でも十分に魅力的な建築となることが理解できました。
 
挑戦をやり終えて
ほんの少し丁寧に目を配り、これまでのやり方を見つめ直し、建築家が生産プロセスに関わる事で、“諦めないで済む2x4工法の売り建て住宅”が、建築として現れることになりました。

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